レスコヴィッチコレクション 広重・北斎とめぐるNIPPON
細見美術館
葛飾北斎「諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」
初摺、揃い踏み
叙情あふれる浮世絵の世界を通してかつての日本を楽しむ展覧会「レスコヴィッチコレクション 広重・北斎とめぐるNIPPON」が27日、細見美術館で開幕する。風景画の名手歌川広重、溪斎英泉による傑作「木曾街道六拾九次」全図をはじめ、葛飾北斎、鈴木春信、喜多川歌麿らの優品が並び、江戸の町の情緒や風俗、日本各地の旅情を味わえる。
パリ在住のポーランド人ジョルジュ・レスコヴィッチ氏が日本美術に目覚めて収集した浮世絵コレクション。中でも、数奇な運命をたどった「木曾街道六拾九次」は名所絵の代表する揃物(そろいもの)だ。
江戸と京を結ぶ中山道の旅路を描くこのシリーズは1835(天保6)年、英泉が版元に頼まれて制作刊行が始まった。版元の経営難で共同版元が加わり、絵師は広重に交代。英泉作は24図、広重作は47図(中津川のみ2図)となった。人々の暮らしを優しい視線で、自然をシャープな描線で描いた英泉に対し、広重は風景に溶け込む庶民の営みを情感豊かに表現した。
複雑な制作の経緯もあって全図所蔵する美術館やコレクターは少ない。英泉の落款(らっかん)入りも2図ある。初版・初摺が揃うのはこのコレクション以外にないという。
このほか、広重の「近江八景」「六十余州名所図会」「名所江戸百景」などを紹介する。また北斎「冨嶽三十六景」「諸国名橋奇覧」「諸国瀧(たき)廻り」、鈴木春信や喜多川歌麿の美人画や風俗画、東洲斎写楽の役者大首絵も出品。ジャパンブルーと呼ばれた紺青、山々にかかる紅のぼかしなど鮮やかな色彩を通して、日本の時空を巡る。
歌川広重「木曾海道六拾九次之内 洗馬」
喜多川歌麿「児戯意乃三笑 恵恩芳子」
歌川広重「六十余州名所図会之内 肥前」
鈴木春信「雪の湯帰り」
東洲斎写楽「三代目市川八百蔵の田辺文蔵」
歌川広重「名所江戸百景 上野山した」
【2019年8月26日付京都新聞朝刊掲載】
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