京都新聞
紙面特集

京都市美術館所蔵品展
動物パラダイス
美術館「えき」KYOTO

はかなく愛らしく

 京都の美術・工芸の巨匠たちは動物をどのように見、表現したのか。動物をテーマに京都市美術館(左京区)の所蔵品を見せる展覧会だ。

 同館は2020年3月21日、通称「京都市京セラ美術館」としてリニューアルオープンする。その間、美術館「えき」KYOTOで「きもの美人」「花鳥風月」と所蔵品展を開いてきた。今回は洋画や工芸作品も含めた46点を見せる。

 
竹内栖鳳「雄風」 1940(昭和15)年

 作品は動物の種類ごとに選んだ。小合友之助「染額雙馬図」、西山翠嶂「馬」、(五代)清水六兵衞(六和)「染付馬花瓶」など、分野が違っても表現に共通性が見えて面白い。

 多様な解釈も成り立つ。書物に前足をかけ「かじろうかな?」というしぐさのネズミを描いた都路華香「書斎之鼠」は愛らしいが、人類が積み上げた英知のはかなさを表すとも読める。

 西村五雲「園裡即興」は、動物園に置かれたかごにウサギが入っている。これから他の動物の餌になるとしても、ウサギたちはその運命を知らない。

 池田栄廣「洋猫」、金島桂華「画室の客」は、この時代、これら美しい洋猫や洋犬を飼っていた人はどんな暮らしを送っていたのだろうと想像させる。

 竹内浩一「幻花」は象の姿に現代の精神世界や聖なるものを表すようだ。

 と、いろいろ考えても竹内栖鳳「清閑」のあどけなさの前にはただ「かわいい」とつぶやかずにはいられない。動物の魅力全開の展覧会だ。

木島櫻谷「角とぐ鹿」 1932(昭和7)年
池田栄廣「洋猫」
1935(昭和10)年
金島桂華「画室の客」 1954(昭和29)年
竹内浩一「幻花」 2004(平成16)年
(五代)清水六兵衞(六和)「染付馬花瓶」
1921(大正10)年
案内
■会   期8月29日(木)~9月16日(月・祝)会期中無休
■会   場美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
■開 館 時 間午前10時~午後8時(入館は閉館30分前まで)
■主   催美術館「えき」KYOTO、京都市、京都新聞
■協   力文化庁地域文化創生本部、便利堂
■入 館 料一般900円(700円)、高大生700円(500円)、小中生500円(300円)
 ※かっこ内は障害者手帳提示の人と同伴者1人の料金。
■問い合わせジェイアール京都伊勢丹 075(352)1111(大代表)
                          
・ギャラリー・トーク8月31日(土)竹内浩一氏(日本画家)、9月1日(日)坂本英房氏(京都市動物園副園長)、7日(土)山田諭氏(京都市美術館学芸課長)、14日(土)中谷至宏氏(同館学芸課担当係長) いずれも午後2時(各回約30分)。申し込み不要。入館券が必要。
・期間限定特典会期中、京都市動物園の入園券提示で当日入館料が100円引き。本展鑑賞後の半券を市動物園で提示すると数量限定で動物園オリジナルメモ帳をプレゼント(年間入園券は対象外。入園券は会期中に限る)。本展に動物に関するグッズを持って入館した人先着100人にオリジナル絵はがきを贈る。

【2019年8月27日付京都新聞朝刊掲載】